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2016年6月17日金曜日

Aria Pro Ⅱ Super Twin 1504

80年代のアリアプロに魅せられて、いろいろなアリアのギターを集めてきた中でも、
かなり手に入れにくく、探すのに苦労しました。


AriaProⅡ ST-1504
当時定価¥150,000のギターです。


ダブルネックのギターは当時のはやりだったのか(ジミーペイジの影響でしょうか?)
80年代ではカスガ、アイバニーズなどでも作成していたようです。
ニーズが無いからか、最近ではほとんど売っているところ見る機会は少ないです。

さて、このST-1504ですが、
見た目のインパクトもさることながら、当時のマツモク工業のこだわりを感じさせるギターとなっています。
ふつうはダブルネックというと、2つのネックが並行に並ぶのですが、
プレイアビリティを考慮し、あえて非並行ネックになっています。
しかもメイプル/ウォルナットのスルーネックです。

あとこれは手に入れてからわかったのですが、ベース部分とギター部分でネックの仕込み角がほんの数度だけ違います。(ベースのほうが仕込み角が深い)
これにより、ヘッド位置が若干違うため、干渉しがちなペグ部分が緩和されています。

横方向のみならず、奥行き方向にも非並行ネック仕様となっているとは・・・当時の技術者のこだわりが感じられました。




基本的には、RSとSBをくっつけた感じですが、アクティブ回路はなく、
スイッチだらけになってしまわないようにか、2軸ポットボリュームとトーンを制御しています。



真ん中のセレクタースイッチは、ベース、ギター、ミックスの切り替えを行います。

ただ、これはどうしようもなかったのか、おそらく他のダブルネックでも起きる現象かと思いますが、ミックスポジション時に、ギター側のセッティング次第でベース側の音も変わってしまうのです。

これは、原因としては、出力接点を共有しているため、ベース側のピックアップで発生した電流がギター側を通る際の電気的ロスが原因だと思われます。

ギター側でフェイズスイッチをオンにするとベースの音量があからさまに下がります。
ベースのみにするとブーストでも入ったかと思うほどの音量差ができてしまいます。

これは、2つの出力を1つの接点に出力する場合にはしょうがない部分ではあります。
整流ダイオードを使用して逆流回路を作ることでいくらか緩和されるかもしれませんが、すべての電流の逆流を解決することはできないと思いますし、音にも影響が出てきてしまいそうです。

そのため、これを解消するためにアリアプロはこのような出力を設けました。


 スタンダード出力と、ステレオサウンド出力です。
基本的には、ベースはクリーンで出したいけど、ギターは歪ませたいというときのためにステレオサウンドアウトプットで、別々のアンプにアウトプットできるというものなのですが、
この別回路を経由しなければならないジレンマの解消のためにもこのアウトプットを設けたのではないでしょうか?

最初、ひとつがベースで、もう片方がギターのジャックだと思っていたのですが、
ステレオアウトプットにジャックをインすると、ジャック内のスイッチによってスタンダードはキル状態になるようで音が出ず、故障かと思って焦りました。

正しい使い方としては、当時のカタログを見ると、ステレオアウトプットを使用の際は、付属の「ステレオYコード」なるものを使用しろとの記載があります。

おそらく名前から推察するに分岐型のシールドケーブルを使わないとこのベースの真価を発揮できないようです。
(こちらはまだ試せていません・・・)


 さて、音に関してですが、
流石マツモクという感じで深い響きのある音が出ます。
重量が重いため、ベース部分では深みのある音がし、SB1000よりも良い音がしている気がしました。
(このギターを持つとSB1000が軽く感じられます・・・)

どちらかというとトレブリーな音色で、ジャズベースのようなニュアンスに近い音が出ます。
スラップなどをすると楽しいですね。

ギター部分は、落ち着いたどちらかというとあまり個性を感じない落ち着いた感じの音色ですね。
ローが強いわけでも、ハイが出ているわけでもないというイメージです。
均等にフラットな出音という感じです。
おそらくギター的にはもう少し重量が軽いほうがしっくり来る音が出るのではないかという感じですね。

ただ、やはりこの年代のマツモク・アリアははずれが無いです。
今回は散々探して、ebayでようやく見つけて、アメリカはウエストミンスターから、はるばる2週間かけて送られてきたのですが、マツモクのギターはいい意味でどれも同じ音がします。


スルーネックによるストライプが目に鮮やかです。

真ん中のバックパネルは電池ボックスのように見えますが、ベース・ギターセレクター部です。


オリジナルケース付きのものを買うことができました。
普段ケースなど使うことは無いのですが、ダブルネックの場合はハードケースでの持ち運びになりそうです。
ほかに入るソフトケースも無いですし、やはりデリケートなギターではありますしね・・・




美しい木目ですね。


ピックアップはアリアプロオリジナルのMB-ⅡとMH-Ⅰです。
ブリッジはSBでおなじみソリッドブラス・オリジナルブリッジテイルピースとRSシリーズでおなじみ、QH(クイックフック)テイルピースです。

音はこんな感じです。


余談ですが、このST-1504という名称は、ST-1501とかST-1502の別のシリーズがあるわけではなく、
どうやら、SuperTwin(ST)の15万円(15)の4弦(04)でST-1504のようです。
別の12弦のほうのダブルネックはST-1512ですので・・・

型番が数字が多く覚えにくかったのですが、からくりがわかってしまえばなるほどという感じですね。
この時代のギターは多くは型番に値段を使用しているパターンが多いですね。